坐骨神経痛

症状

坐骨神経痛とは、お尻から太腿の後ろ側が激しく痛む症状を指します。ひどくなるにつれ、脛やふくらはぎ、足に範囲が広がり、自覚症状も痺れ、麻痺と悪化していきます。

腰椎の隙間から出て骨盤をくぐり抜け、お尻の筋肉に至る坐骨神経の通り道のどこかで、圧迫や絞めつけが起こったことにより発症します。

坐骨神経は、末梢神経の中で最も太く長い神経で、太いところでは、手の親指と同じくらいの太さがあります。太腿の後ろ側と膝か

ら下の全ての筋肉を支配しています。

原因と治療法

坐骨神経痛の原因として主なものは腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、梨状筋症候群があげられます。

ごく稀に脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍が原因で坐骨神経痛を発症する方もいます。こういった腫瘍が原因の場合は、痛みが非常に強く、施術効果も認められません。ちなみにこのような患者さんは、私の30年以上の経験で修業時代におひとりいただけでまれです。

坐骨神経痛を発症して当院にいらっしゃる患者さんは、決まって「ヘルニアですか?」とお尋ねになります。つまり、手術しなければ治らないかと心配しているのですが、ラセーグテスト(坐骨神経伸展テスト)をすることで大まかな目安になります。

仰向けの状態になり、膝を曲げないで痛みのある脚を上げていきます。 正常な方は、痛みもなく70°以上挙がります。

手術の必要性のある腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の方は、30°以下で痛みによって腰や脚をよじってしまいます。

坐骨神経痛の症状があっても30°以上脚が挙がる方は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症であっても一時的なものか軽度のものか梨状筋症候群の可能性が高く、適切な治療をすれば手術をせずに治ることがほとんどです。

ごく稀に障害がひどくても痛みを感じない方もいますので、その場合は詳しい検査をお勧めします。

筋肉性の坐骨神経痛について

当院へ坐骨神経痛を訴えていらっしゃる患者さんの多くは、筋肉のバランスが狂い、坐骨神経が中を通り抜ける梨状筋に異常な緊張を生じることによって起きる梨状筋症候群などや脊柱や骨盤が歪み神経を圧迫して起こる腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などに大別できます。

ここでは、筋肉性の坐骨神経痛について述べていきます。

筋性腰痛やぎっくり腰、股関節など脚の関節のケガをかばっていたり、長時間の運転やデスクワーク、スポーツの後のケア不足などがあると、腸腰筋は縮んだまま伸びなくなり固まってしまいます。 これでは、腰が伸びなくなってしまうため、大殿筋というお尻の筋肉に大きな力を入れて股関節を伸ばすことになります。

車の運転に例えると、サイドブレーキを引いたままアクセルを目いっぱい踏み込むようなものです。(図1)

大殿筋の下には、図2にあるように梨状筋があり、ここまで硬くなると坐骨神経を圧迫してしまい、坐骨神経痛を発症してしまいます。

当院での治療法

左の図のように左坐骨神経痛を起こすと腰椎下部と頸椎下部が痛い側に湾曲し、骨盤も痛い側が高くなってしまいます。

筋肉のバランスをとり、この歪みを正すのが治療の基本ですが、坐骨神経痛を起こしたばかりでは、痛い側のお尻の筋肉が非常に硬くなり、立ち座り、歩行などの動作が不自由になっています。 

まず、お尻の筋肉を柔軟にし、動作が少しでも楽になるようにすることから始めます。

患者さんの痛くない側のお尻を壁や柱につけて立たせます。 

施術者は、痛い側のお尻のえくぼのあたりに拳をあて、いた気持ち良い程度の力でほぐします。 痛い側のお尻が弛んだら反対側のお尻も弛めてバランスをとります。 

軽症の場合は、驚くほど楽になります。

痛みの激しい場合やかばい過ぎた場合は、痛む側と逆の骨盤が高くなり、お尻も痛む側と逆が硬くなるので見極めが必要です。 

そのあとは、患者さんの症状にあわせて筋肉のバランスを整え、適宜、背骨や骨盤などの矯正を行っていきます。

セルフケア

筋肉性の坐骨神経痛では、図1腸腰筋と大殿筋 にあるように腸腰筋と大殿筋が縮んだまま硬く伸びなくなり、梨状筋及び坐骨神経を圧迫していると考えるため、腸腰筋と大殿筋を中心にストレッチをすると予防効果があります。

また、梨状筋のストレッチも予防効果がありますが、坐骨神経に刺激を与えることもあるので注意してください。

腸腰筋のストレッチは参考記事に載っています。参考にしてください。

大腰筋のストレッチ1

大殿筋は股関節を伸ばす働きと外側に回す働きがあります。 ストレッチのポイントは股関節をしっかり曲げ、内側に回すことです。

仰向けに寝て、両手で膝を抱えて股関節を曲げる。

曲げ切ったら膝をゆっくり反対側の肩へ近づけて内側に曲げる。

大腰筋のストレッチ2

体育座りの姿勢からストレッチする側の足を乗せる。

その体勢から胸を張ったまま、身体を膝に近づける。

※このとき、腸腰筋が硬いと背中が丸まるので注意が必要。

梨状筋のストレッチ

背すじを伸ばして椅子に座り、ストレッチする側の脚を抱え、膝を反対側の胸に引き寄せる。

※お尻は座面にしっかりつける。 お尻のえくぼの奥に伸長感があれば、OK。

いずれのストレッチも無理のない範囲で20~30秒キープを3セットが理想です。

痛みが出て呼吸を止めると返って筋肉を硬くするので注意しましょう。

これらはあくまで坐骨神経痛予防のストレッチです。痛みのある方はご相談ください。

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